« 英語後進国は願い下げ | トップページ | 異文明の考証 »

再び「長江ダム」

中国南部で異常高温が続いている。

雲南省では気温が冬の2月に摂氏30度になったとか、昨年5月の上海では、過去136年で最も早い夏入りを宣言、我が国でも九州、山陰地方に異例の秋の黄砂の観測が発表されている。

黄砂の嵐で中国新疆地区は昨年3月に431億円の損害があったと発表。

アメリカの新聞も今年の3月、中国が100年に一度と云う大干ばつに見舞われていると伝えている。

又、ベトナム北部を流れる紅河の水位が1902年来の渇水で、68センチまで低下、加えて昨年9月よりの渇水で森林火災も多発して、今や中国だけにとどまらずベトナム、ラオスにも影響が及んでいるという

ベトナム南部のメコン河流域は伝統的な穀倉地帯であるが、その周辺の河川の水位も過去20年間で最低となり水が逆流して深刻な塩害を引き起こしている。この周辺の河川の大半はチベットを源流とし、雲南省、ミャンマー、ラオスタイ、カンボジア、ベトナム等が長くその水利を受けてきた。

ところが、中国は戦後メコン上流に計8基のダムを作ったのでこれら下流に影響が出た。

中国がこれらのダムから放流すれば水不足は解決するが、中国も深刻な水不足なのでそれも出来ず今回の悲劇となった。

ベトナム北部では今月末にも降雨が期待されるが、その他の地域では8月頃まで期待薄との情報もあり、もし予想通りならばこれらの穀倉地域に壊滅的被害が出る可能性があるらしい。

中国だけの被害予想でも2600万人に影響があり、1200万人以上が水飢饉に見舞われるらしいが、中国政府は依然としてこの現象を「地球温暖化」を被害の理由とし、長江ダムがその遠因であることを否定している。

最近、中国雲南省、昆明市の郊外の密林が強風の中で火災が発生(2010・02・10)2日間も燃え続けた。

2月だと云うのに海南島では夏入り宣言(02/04‘10)、首都北京でも去る2月に摂氏16度を記録、これは167年来の記録と云う。

昨日(03/17’10)の中国新聞の報道では、南部の水不足は次第に深刻さを増し、四川省のある町では昨年10月上旬から現在までに10万人の住民と家畜10万匹が死に絶え、その上飲み水不足で、今では住民が河底にたまった臭気のする水で飢えをしのいでいるとのこと。江西省では人工降雨のロケット発射を試みて干ばつをやや緩和したらしいが、この現象が今では中国の15省区に拡大していることを認めている。(02・25・10)。

我が国は太古の昔から海を挟んで中国大陸の東方に位置し、偏西風を受け続けてきた。“暖かい春風の源”程度にしか思っていなかった中国の存在が俄然一変して、今では“公害の源”として意識せざるを得なくなった。

中国はアメリカと並んで石炭の豊富な国であり発電のほとんどを石炭燃料に頼っている。中国の奥地では今でも各所に露出した石炭が燃え続けているという話も聞く。

従って、偏西風に乗って春には黄砂と共に汚染された煙も絶えることなく流れてきていると思わざるを得ない。

中国の歴史は揚子江と黄河の氾濫の歴史でもあった。それが孫文の頃より揚子江にダムを造って「治水」を試みることを考え始めたと云われている。

それが「長江ダム」である。

これは今になって為政者たちが失敗であると知りつつ引きずっているプロジェクトなのである。(共産主義国家では失敗はあってはならない)

中国政府の発表によると今回の干ばつの被害総額は100億元(1320億円)とのことである。

タイのメディアは「中国がメコン河上流に造ったダムが異常渇水の原因」と中国を非難しているが、これに対し、タイ駐在中国大使館は去る11日記者会見でこの報道を正式に否定している。

しかし、上流で渇水がおこれば下流ではもっと困ったことになることは判り切った事象と考えなのだろうか?

筆者は昨年より度々「長江ダム」が早かれ遅かれ大問題を引き起こすのではないかと考えていたのだが、これがこんなに早く国際問題化するとまでは考えなかった。

長江ダムは工事開始当時からいろいろと批判されてきたが、ここにきて愈々、不吉な予感がたち始め、将来にわたって益々不安の種は尽きない。

|

« 英語後進国は願い下げ | トップページ | 異文明の考証 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/304622/33861478

この記事へのトラックバック一覧です: 再び「長江ダム」:

« 英語後進国は願い下げ | トップページ | 異文明の考証 »