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北極海の異変とその将来

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20世紀までに遠洋航海日数を短くするために、大工事の結果作られたのが“スエズとパナマ”運河である。

その2大運河が不要になる話が現実味を帯びて語られている。

それが北極海航路である。ところが事はスンナリとは運ばない!

実は北極海は危険イッパイの場所で、有名な“タイタニック号”沈没事件(1912410日)以来暗黒の海に漂う氷山の怖さは誰もが知っている。

世界中が今や地球の温暖化による異常気象で、大なり小なりの被害を受けているが、中でも驚いたのは今月はじめ、北極海の近くのグリーンランドの大氷河の崩壊で巨大な氷山が海に漂い始めたらしい。

しかも今度見つかったと云われる氷島はタイタニック号が突き当たったものと比較しても、段違いにスケールが大きく、「ペテアマン2010」と名付けられ、その面積は約260平方キロ(マンハッタン島の約4倍、その厚さ約200メートル、それに含まれる水量はざっと全米の公共水道水量の4カ月分に相当するとのこと。(産経新聞2010年8月22日)

専門家の話では、これは過去半世紀の記録にない最大規模の氷河崩落によってできた氷山(島)と思われている。

現在、関係国ではその行方を注視、海上の石油リグに衝突したり、海峡を塞いで船舶の航行の危険性を憂慮している。

かしこの事件はこれだけでは収まらない。

これほどの氷島を作った氷河崩落は北極海の温暖化が如何に急激に進んでいるかを物語っているからである。

これによって真っ先に予想されることは、今世紀の初頭からスタートした「北極圏戦略」にまつわる大国間のパワーゲームがさらに熱気を帯びることに他ならない。

アメリカの調査では北極海には世界未発見の石油埋蔵量の13%、天然ガスの30%、その他金、銀、銅、ニッケル、ダイヤモンドなどの存在も話題に上っている。

北極海の海氷面積は年々少なくなっていることは既に周知の事だが、冬季にはこれまでのところ航行不能と思われていたが、これから比較的無理なく行き来できることになれば、カナダ沿岸の「北西ルート」、ロシア沿岸の「北東ルート」が今後考えられ、それらを経由出来ることとなると、パナマ、スエズの両運河経由と比較して距離も日数も飛躍的に短縮されると考えられる。

北極が南極ほどこれまで国際的に問題視されなかったのは、そこに陸地がなかったからであった。

21世紀になって各国がこぞって北極近辺の領有権や開発権の主張を強めている。

北極海の氷結面積が過去の最小を記録した2007年の夏、ロシアの潜水艇が北極点の海底にロシア国旗をたててロシアの主権を主張したことは記憶に新しい。

2013年の夏には北極海から海氷が消え去ると予測する見方もある。

8月15日にロシアの海運大手の大型タンカーが中国向け実証航海に出発した。これが予定通りゆけば航行日数は2週間短縮できるはずとのこと。今後は太平洋と大西洋が最短距離で結ばれ、その場合中国は最大のメリットを得ることだろう。

今後の積極的な北極圏の利用が進めば、北極航路、海底資源、水産、軍事戦略の面でも日本は重大な影響を受けることとなる。

この周辺の権益に関心を示している8ヶ国(カナダ、デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノールウエイ、ロシア、スエーデンとアメリカ)の内最も関係が深いと思われるのは、カナダ、デンマークとロシアではないだろうか?

特にグリーンランドを領有するデンマークは、今後如何なる行動をとるのか興味がもたれる。

その反面、氷山が溶けて水面が上昇することは確実。

この現象で被害を被る数多の洋上の島国には当然国際的な保護対策が考慮されてしかるべきである。

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