« 微風を捉えて発電する風車 | トップページ | 伊藤若冲 »

北京天安門前から消えた孔子像

Photo_2

毎日新聞4月22日(金)によると、去る1月、北京、天安門広場東側の中国国家博物館前に出来上がった、或る有名彫刻家による、高さ9.5メートル、重さが17トンの巨大な孔子のモニュメントが4月20日、何の前触れもなく忽然と姿を消したと云う。(写真)

博物館はこの理由を一切明らかにしていないが、天安門広場、毛沢東の遺体が安置してある毛沢東記念堂と隣接している、中国にとっては重要な国家的象徴の場所で起こった事件なので、いろいろの憶測が生まれて当然と思われる。

この孔子像が公開された時(三か月前)呂章申館長は、新聞を通して“孔子は中国伝統文化の代表”と述べていたらしい。

その後、インターネット上などでこの石像設置について賛否両論となったとの事。

保守派の一部の意見では“封建思想の代表人物の像が、共産党の代表的人物(毛沢東)と共に国家の象徴的記念広場にあるのは不具合”がその結論。

文化大革命の頃(1966~1976年)、中国では孔子は封建的な道徳観を唱えた反革命の元祖と云われて悪人視された時があったが、それが80年代以降、政府の考えが変わり、国に対する忠誠、愛国心をあおる材料として孔子の再評価を促した。

そもそもこの孔子像を有名な彫刻家に造らせて、国家の象徴的広場の近くに設置を決めるには政府中枢決定機関の関与がなければ出来ない仕事であったに違いない。それが僅か3ヶ月で消滅したとすれば、一体何が起こったのか?

毎日新聞は、中国では“80年代以降、政府が愛国心を強調するため自国の歴史を重視し始め、孔子の再評価が進んだ。”とだけ書いているが、何故、今年の一月に首都北京の中心地、「天安門」に据えられたこの巨大なな孔子像が3カ月もたたないうちにその姿を消さなければならなかったのか?

周知の通り、孔子、孟子の教えは東洋の倫理感の礎で、仏教以外では東洋人が共有できる数少ない精神文明の源であると筆者は考えている。

これは中国共産党内部で何か重要な思想的変調が起きる前兆と考えるべきである。

翌近平氏が次の総書記に名指しされているとのことだが、果たして胡錦涛以後の中国にどんな変化が起こるのだろうか?

来る5月12日で、行方不明者8万人以上を出した四川大地震から3年になる。

この震災後の政府の被災者にたいする無責任な対応に不服を申し立てている遺族に非情な締め付けを行い、各地でデモが起きている情報もある。

云わば、国中に不満分子が充満していて、最近中東の各地で起きているデモや内戦に中国政府が神経質になっていることは事実。

孔子像を建立したことが、国民の倫理観を高揚する狙いであったならば、ともかく、国は国民に対して分け隔てなく愛情のこもった政治を行うべきである。

|

« 微風を捉えて発電する風車 | トップページ | 伊藤若冲 »