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中国は国内問題解決を優先せよ!

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中国革命の父として崇められた孫文が、1919年に立案した長江ダム構想は、87年後の2006年5月20日完成され、それを祝賀する完工式が執り行われたと聞いている。

それを推し進めたのは中国指導部の胡錦涛国家主席であり、李鵬前総裁であった。両者ともに発電技術師であり、「三峡プロジェクト」のそもそもの提唱者であった。首相の中国国務院の温家宝総理も、三峡工程建設委員会主任を兼ねた、云わば当工事の中心人物である。

三峡ダムの完成式は2006年5月20日に挙行されたが、そのような大事な行事に彼等は一人としてその式典に姿を見せなかったといわれている。

このような世紀の国家事業の節目において最高責任者がそろって欠席したことが事実だとすれば、それこそ“異常事態”と考えざるを得ない。

1983年、三峡ダム事業化調査報告が提出された。しかしこのプロジェクトには最初から賛否の意見が拮抗し、全人代の議論にも影響を与え、一時はその着工の延期が語られた。しかし、天安門事件(1989年)が起きて、それまで着工に反対を唱えていた分子の一人、戴晴が逮捕され、それを機に李鵬首相が急きょ着工を決定した。

1992年、第7期全人代の第5回会議で、出席者2633名中賛成が1767名、棄権664名、反対177名無投票25名の結果が出た。

専門家は、これまでの全人代は全会一致が基本であるべきところが、これほど棄権、反対、無投票がでるのは正に異例のケースと云わざるを得ないとの事。

1993年、事業主体である「長江三峡工程開発総公司」と資金集めの「三峡証券」が設立された。

1994年に着工式、それに続いて本工事開始となった。2003年には、早くも一部貯水、発電開始、第3期工事に移り、2006年の完工式となり、2009年すべての発電所を含めた全プロジェクトが出来上がった。

その間、2007年までに140万人が強制移住を余儀なくされ、予定では2020年までに更に230万人の退去が予定されている。

「三峡移民」と云われる人々の多くは少ない補償金でかたずけられ、貧困層へと転落しているのが現実で、各所で社会問題化しつつある。

揚子江の沿岸には多くの名所旧跡が多く、それらが水底に沈み、文化財を中心とした観光地が姿をけすこととなり、古代からの多くの中国文化を自ら葬り去っていることは考えてもさびしい。

それに沿岸の水質の悪化に依る、生態系の破壊、在来の動植物に与える悪影響、地滑り、がけ崩れの発生、進むダム内での土砂堆積、水の圧力増加に依る地震発生の恐れ、等々、数えだしたらきりのない自然保護に不利な環境への移行が急速に進行していることは誰の目からも否定できない事実である。

最近起こっている中国の異常気象を三峡ダムに結び続けて不吉に感じている者は少なくない、

最近始まったチベットでの多数のダム建設は何の目的なのだろうか?

昨年の8月22日の毎日新聞報道では、甘粛省のチベット族自治州舟曲県で土石流が発生、1800人の死者・行方不明が出たが、それが砂防ダムの手抜き工事が原因だと批判されて温家宝が被災地を訪問して、今後は“科学的計画”のもと復興を進めるようにと云う、理解に困るような指示をしたと云われている。

同誌は土石流で破壊されたダムは少なくとも6基で、壊れたダムを調べると、セメントは外側だけで内部には砂と小石が詰められていた云う程の稚拙な工事であったらしいと報じている。

今年発生した高速鉄道衝突事件も、云わば公務員の不慣れな経験から起きた人災でった。

ここに至って、貴方達は何に向かって、そんなに急いでいるのかと糺してみたい気持になるのは決して筆者だけではないと思う。

グーグル・ウイキペディアは中国の水問題について、世界銀行の調査結果として、以下の様な事柄を指摘している:

●世界人口の20%を占める中国の人口に対してその水資源は世界全体の僅か7%しかない。

●中国の660の都市の半分以上が水不足に苦しむ。

●一人当たりの水資源は世界平均の1/4.

●年の90%の地下水、河川、湖沼の水の75%が汚染されている。

●水質汚濁の広がりの為、毎日7億人が汚染された飲料水を飲んでいる。

●水が原因の病気で、驚くべき数の早死者が生まれている。

●2005~2006年に“三つの大規模な事件”(?)が発生、何百万人の住民に対する飲料水の供給停止が行われた。

●政府は下水処理施設によるこれ以上の水質汚濁対策投資に手がまわらない。

●北京のような大都会では、市が認定した水質基準の飲料水が売られているが、偽造のボトルの販売の氾濫で「正規」の水準が保たれていない。

●国際河川であるメコン河の上流に、中国が多数のダムを建設、下流のインドシナ諸国に水飢饉が波及する棄権がある。

世界銀行による以上のような指摘を受けながら世界一流国家を標榜する中国が如何にふるまうべきかの回答は出ている。

政府はつまらない見栄だけで、大金を消費してオリンピックを開催、上海万博や高速鉄道、航空母艦の建造に回す資金を先ず、「治水」と「水質確保」「水汚染問題」にまわして、国民の健康と精神的安定に力を注ぐべきだと考える

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