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「オーランチオキトリューム」

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オーランチオキトリューム(学名:Arantiochytrium)と云う、一度聞いただけではとても覚えられない難しい名前の“藻”が次世代の再生エネルギーの本目として期待される新しい材料である。

平成22年に筑波大大学院生命科学研究所教授の渡邊信氏が沖縄の海でマングローブの林の中から発見した、光合成をおこなう葉緑素をもたない“藻”の種類。

この“藻”は排水などに含まれる有機物を吸収して、活発に増殖する性質を持ち合わせている。

「スクワレン」と云う名称で知られているサメの肝油とおなじ炭化水素で石油などと同じ成分の燃料になる。

仙台市の東部沿岸にある下水処理場の南蒲生浄化センターは昨年3月11日、10メートル超の津波で、施設が壊滅的打撃を受けた。市の生活排水の7割に当たる日量39万トンを処理する大規模施設で、これの完全復興には4~5年、それに900億円と云う高額な費用が必要とされている。

これの復興計画で浮上したのが、前述した渡邊教授の推奨する“藻”の活用である。彼は宮城県の出身で、かねてより実用化に向けて仙台市が抱えるものと類似の問題解決の実用化プランを練っていたことでもあり、仙台市に協力に積極的に参加、この度、仙台市、筑波大、東北大の三者で研究協力協定を結んだ。

先ず試験プラントを建設後、筑波大が藻の培養、東北大が油分の抽出を担当、実証研究の開始となる。

渡邊教授はこれまで「藻を培養する栄養源に排水の有機物を使うので産業化のネックだった製造コストがさげらることで、復興のためにも先駆けのプラントとして成功させたい」と抱負を述べている。

バイオ燃料には、トウモロコシなど食糧作物からエタノールを作る方法が大農場を使って普及しているが、今後は食糧の供給不足や原料の高騰に不安が残り実用には不向きである。

他にも、食糧にならない雑草などの陸上植物の研究もあるが、これらは殆ど生産量の確保の面で広大な土地が必要で我が国には則さないと考えられる。

ところが藻類ならばタンクやプールで大量に培養すれば土地を選ばないうえ、面積当たりの収量はたかい。

この“藻”の特性は、増殖のスピードがこれまでに最有力候補と云われた、光合成する藻類の10倍以上の炭化水素を作り出すことで知られいることは事実で、現在の試算では、1ヘクタール当たり年間1万トンと考えられ、これが2万トンも出来ることになれば、日本の原油輸入量を賄えることとなると考えられている。

これに似た培養研究は早くからアメリカを中心に行われており、米エネルギー省が助成金を出して商業化に努めていると云われている。

日本でも大学や民間で研究グループができ、軌道に乗り始めた段階である。将来のエネルギー源として欠かせないファクターとして1日も早い実用化を望みたい。

(産経:410日、「オピニオン」参照)

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