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エリザベス2世とイギリス気質

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エリザベス女王(86)は今年、即位60周年を迎え、ダイアモンド・ジュビィー(Diamond Jubilee,即位60年、75年記念祭)の記念行事が、6月2日から5日まで、ロンドンを中心として催される。

筆者の知る限りでは、ヴクトリア女王の在位期間、(1837-2001年)の64年間に次いで、英国史上2番目の永い在位ではなかったかと考える。

即位当時(1952)の英国は、戦勝国とはなったがドイツの空爆に遭い、ロンドンも壊滅の状態であった。そのようなみじめな時期を乗り越え、60年代のビートルズの出現でイギリスは世界中を巻き込む“casual”    時代を迎え、一気に戦後の憂鬱なムードを吹き飛ばした思いがする。

彼等の”Let it be”は、正にその時期のイギリス人の、一種の投げやり的な感情をむき出しに表した名曲ではなかったかと思う。

女王はビードルズに「外貨」を稼いだお礼の意味で“国民栄誉賞”を授与してその功績を称えた。

それは、16世紀、エリザベス1世が、世界中の海を荒らしまわってスペインの財宝をかすめ取って、イギリスに持ち帰り国家の財政に寄与、その後、スペインが世界に誇る無敵海隊(アルメイダ)を打ち破った、大海賊フランシス・ドレイク(Francis Drake(1540-1596)に爵位の称号を付与して、ほめたたえた事例にも似たものであった。

イギリスは伝統的に型破りなことを平気で行う国であり、一般にはジェントルマンに象徴される、「型苦しい印象」は、まるで仮面で、本質な別物と云う感がある。

ブルー・ブラッド(blue-blood)といわれるイギリス人の残酷な一面は、エリザベス1世が、カソリックのメアリー(Mary Tudor)を斬首刑に処して、プロテスタント国家、今日のイギリスの礎を築いた例から顧みてもハッキリしている。

王室がしっかりしていれば伝統は守れる。反面、悪い国王は追放されるのが当然と云う好例は、チャールス1世(1600-1649)の処刑からも伺える。

ヴィクトリア女王時代に於いても、インドの治世や、ローデシア管轄にもblue bloodの性格が如実に表面化している。

しかし、そんな暗い一面からみて、考えられないような明るい一面も持ち合わせた国がイギリスで、エリザベス2世はその象徴のような人であるように見えてならない。

彼女は気軽に世界を訪問して、どんな人にでも気軽に話しかけ、個人生活においてもツイッターやフェイスブックまでも楽しんでいると聞いている。

チャールス王子とダイアナ妃のスキャンダラスな離婚問題、ダイアナ妃の交通事故死等の悲しみを乗り越えて、86歳まで、少なくとも、何時も笑顔を絶やさずに歩んできた60年の偉業には頭が下がる思いがする。

今年はロンドン・オリンピックを迎えようとしている大英帝国、ヨーロッパの不況に何か明るいトピックを撒き散らして欲しいと思っている。

近世の我が国の皇族制度は、そもそも、イギリスを模型として形造られたものであるが、昨今の様子では、「宮内庁」に虐げられたような惨めな局面しか見えてこない。

これは国民性の違いだけでは済まされない根の深い伝統が息づいているかに筆者には見えてならないのが残念である。

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