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ギリシャに中国の影

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丁度今から一世紀以前に上海で起こったことがギリシャで始まろうとしている。

アヘン戦争後、英国に敗北を喫した清国は西洋の国々に借りを作って、その替わりに債権国に期限を切って領地を租借した。この典型が香港であった。

ギリシャの危機が世界中の問題になっている、今度は清国が変身した中国がギリシャに45億ドルを貸し付けて、首都のアテネから西へ車で約20分のところのピレウス港を35年間の期限で租借した。(2009年)

ギリシャはユーロ圏にあるNATO加盟国である。中国の海運最大手、中国遠洋運輸(COSCO)の傘下に、PTC(ピレウス・コンテナ・ターミナル)会社が組み込まれ、その第二埠頭を運営することになった。

これは正に中国の租界であり、ギリシャの一角が中国の「治外法権」に近いテリトリーとなった事を意味する。

PTC最高経営責任者は博承求、事務所の壁には胡錦涛国家主席の写真が掲げられている。

ギリシャは半島で、ヴァルカン半島を通って欧州大陸、黒海から中央アジアに通じている、即ち、中国とは陸続きの国である。

COSCOはさらにイタリアのナポリ、エジプトのポートサイドなど、欧州、中東の6か所で港湾運営に携わっているが、このピレウスは唯一、運営権を掌握する港である。この“完全支配”のメリットを生かし、同港を経由する貨物の取扱量は昨年、欧州経済が停滞する中で倍増を記録、今年も同6割増を見込んでいる。

中国とギリシャは去る5日、国交樹立40周年を迎え、胡錦涛主席はパプリアス大統領に「金融危機との戦いの中で、双方の友好協力はさらに緊密になっている」とのメッセージを送った。

ユーロ圏に踏みとどれるかどうかの瀬戸際で、両国の協力関係の継続、深化を誓う中国にとって、瀕死のギリシャこそ中国の格好の“獲物”として映る。

この17日にはギリシャでは再選挙が行われるまで、既に10日を切ったがこれから何が起こるかを世界中が見据えている段階である。

今後、ピレウスで雇用が奪われるのではないかとギリシャ人が恐れていたが、この埠頭で働く従業員千人の内、なんと中国人は管理職の7人のみ。ここでは中国支配を伺わせるサインは全くなく、ここでも如何に中国が巧妙に立ち回っているかがわかる。

第一埠頭はギリシャ国営になっていて、第二埠頭を支配する中国(COSCO)は業務開始に当たり、組合に所属しないギリシャ人を低賃金で採用した。しかしながら今年2月、ここで組合を作ろうとした3名のギリシャ人を即刻解雇した。

中国は現在、バルカン半島に物流網の基点を置き、北部テッサロニキの港や鉄道網の敷設によるインフラに関心を寄せていると報道されている。

ピレウスは中国にとってのテストケースだが、ここで成功を見れば今後は他の地域でも投資のチャンスを探すことだろう。

前述したように、この現象はまさに100年前、欧米列強が清国に租借地を求めて侵略を始めた図式の裏返しのように筆者の目には映る。

もしギリシャがユーロから離脱することになれば、その時こそ、中国はもう一歩踏み込んだ態勢で中近東、地中海、ヴァルカンに進出の機会を探るのではないかと想像する。(“ギリシャ危機と世界”産経6月8日記事より)

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