« 愛媛県今治「工房織座」 | トップページ | 「カラスウリ」の実と花 »

「古物営業法」は悪法!

大正12年6月14日東京美術倶楽部に於いて、若狭酒井家所蔵品の入札競売が執り行われた。

大正6年の赤星家入札が未曾有の売り上げで評判になったが、安政年間京所司代を務めた、酒井忠義の収集になる酒井家の大入札会も歴史に残る程の成績を残した。

酒井忠道氏他界に及んで、当主、忠伯が財産の分配にあたり、三井物産の重役、益田孝氏に相談の上、その売却が東京美術倶楽部に於いて、大阪の戸田弥七他、当時の代表格の東西の道具商を札元にして挙行された。

この決定は誠に当を得た決定であった。即ち、この入札が行われて、3ヶ月未満に「東京大震災」(9月1日)がおこっていることからも理解できる。

予想に違わずこの入札会は人気を呼び、多くの万単位の売価を生んだ。(総売上高約70万円)。

その中にあって、伝光長筆「吉備大臣入唐絵巻」が白眉を飾った。この落札価格は188,900円で世話方の戸田が落札したことが知られる。(高橋義雄著“近世道具移動史”)

震災後の景気沈滞で、この鎌倉時代の貴重な絵巻物にはなかなか買い手が付かず、戸田家の蔵に眠っていたところ、ボストン美術館の東洋美術部課長、富田幸次郎氏の目にとまり、富田氏の努力で同館にて購入されることとなった。

このような国にとって貴重な美術品が国の知らない間に外国に買われていくことを重視した政府は、1936年(昭和11年)俄かに文化財規制法を定め、重要美術品、国宝の規定を決めて、これらの国による管理体制をしいた。

重要美術品の指定基準は、戦後改訂され「国宝」と「重要文化財」となったが。それでは国宝や重要文化財に未指定の物件はどのように扱われるのかと云えば、これが依然として心もとない状態として放置されている。

政府は国民の善意を信じて、文面で「高価な古物を輸出する場合は、所属官庁に申請する義務」を課しているが、これが守られているかどうかは怪しいと言わざるを得ない。

少なくとも「我が国の文化財行政」がことごとく後手にまわっていることを指摘したい。

国宝を含む、指定文化財は許可なく外国に売却はできないが、「指定漏れ」の重要な由緒や価値を持つ物品の管理が今後の問題として残る。

文科省が輸出申請に基づき、優先権を定めて国家予算で正当な価格で買い取る態度を表明するならば、今後は文化財の海外流出を防ぐことは可能となる。

日本では古物の売買には「古物売買鑑札」が必要で、公の競売は登録済場所に於いて許可証所持者間で行われ部外者の出入りは出来ない閉鎖的制度をとっている。

このような閉鎖的な風習を改め、欧米のように誰でも参加できる開かれたオークション市場とすれば前述のような“闇から闇に”行われる取引が消滅するのではと思考する。

古物営業の取締が未だに警察所管となっていることこそ問題で、今後は、何でもお上が取り締まる「行政」の因習こそ1日も早く改めるべきである。

|

« 愛媛県今治「工房織座」 | トップページ | 「カラスウリ」の実と花 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/304622/46799339

この記事へのトラックバック一覧です: 「古物営業法」は悪法!:

« 愛媛県今治「工房織座」 | トップページ | 「カラスウリ」の実と花 »