« インド洋の要衝「ディエゴ・ガルシア」 | トップページ | 中国の億万長者 »

天然資源と北米大陸の将来

脱化石燃料政策を大々的に掲げたアメリカ・オバマ政権であったが、太陽光発電企業の相次ぐ倒産で「新エネルギー産業開拓」が迷走して、エネルギー産業の将来への展望が危ぶまれていたが、今日まで生産性の目途が立たずに放置されていた、地中の岩盤に含まれる天然ガス「シェールガス」(shale gas)抽出技術の確立で様相が一変した。(8月3日、産経)

これはアメリカにとっては朗報で、19世紀半ばに起こったeldorado(黄金郷)の再現に近い石油ブームと云っても言い過ぎではない。

アメリカ・カナダ地方の地底に眠る無限に近い資源を経済的に採掘する技術の確立で、液化天然ガス(LNG)のほか、石油など液体化石燃料の純輸出国に早晩転じるとの分析が盛んになされている。

北アメリカ地方は20世紀の初め頃から自然環境保護の思想にもとずき、広範な地域が国立公園等に指定され、むやみに荒野を開拓することに制約が敷かれた。

科学的調査では、これらの自然保護の網のかかった多くの地域にも無限に近い石炭や地下資源が眠っていることが判明しているが、最近発見された北ダコタ州、テキサス州での油田地帯はそのような条例の規制を受けていない地域である。

将来、エネルギーの自給が盤石となるとアメリカ企業の国際競争力が上昇、製造業の復活が加速しているほか、制限されているエネルギー輸出の拡大を求める声が盛んにあんりつつある。

米国では天然ガスは略自給、石油は半分弱を輸入に頼っているらしいが、米金融大手シティーグループは最近、2010年以降はLNGなどの純輸出額が純輸入額を上回るとの試算を発表している。

とりわけシェールガス開発の拡大でLNG採掘量が急増中で米エネルギー省情報局も「2020年には純輸出国に転じる」との予測を正式に発表したと云われる。

ピーターソン国際経済研究所によると、シェールガス開発は10~15年にわたってアメリカ国内総生産(GDP)を年1%押し上げると云う予測である。

「脱化石燃料」を掲げたオバマ政権もここにきて「国産エネルギー生産の増強」に舵を切りなをした感がある。

国内でのシェールガスや海洋油田開発は石油の中東依存を引き下げる機運は“オバマ政権のエネルギー安全保障の中核にな”ると    米電力業界関係者の弁。

中東への原油依存リスクは今やどの先進国でも避けたいところ、これからはアメリカへの石油依存度は高まることが予測され、北アメリカ大陸(特に、カナダ、米国)の将来に明るい光が見えてきたと思われる。

その反面、これまで1世紀以上、石油輸出の恩恵で繁栄を続けていた中東諸国の運命は今後、如何に展開するのだろうか、一抹の不安を感じざるを得ない。

|

« インド洋の要衝「ディエゴ・ガルシア」 | トップページ | 中国の億万長者 »