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インド洋の要衝「ディエゴ・ガルシア」

インド洋は世界で三番目の大きな海域で、東にマラッカ海峡、西にスエズ運河があり、マダガスカル海峡、喜望峰を通じて大西洋にも通じている広大な海原である。

極東の島国の日本からは遠く離れているため、日本人の感心が薄かった地域には違いないが、今世紀に入り、インド洋の戦略的重要性が問題になりつつある。

これの直接の火種は、云わずと知れた中国の台頭である。この海域を「真珠の首飾り」と呼ばれる理由は、マダカスカル島とインドとの間に無数ともいえる多くの島が存在し、最近になって中国がインド封じ込めの目的で、スリランカ以西、アラビア海までに散らばっている多くの小島を連携する軍事シーレーンを構築、西側の脅威となることを危惧するアメリカを中心とした西側諸国が、この海域の略中心にある小島“ディエゴ・ガルシア”をもってこれ以上の中国の進出を阻止、監視する体制を固め始めた。(選択8月号)

BP(ブリティッシュ・ペトロリアム社)版「世界エネルルギー統計概観」に依るとDiego Garcia島は人間の足をかたどったようなサンゴ礁でできた島で、イギリス領である。

赤道の南、アフリカ東海岸より3300キロ、インド南端から2200キロ、オーストラリア北端のダーウインから6400キロ離れた位置にある。

西洋諸国の間では、インド洋を制する国は世界を制覇するとまで云われているが、永い間大英帝国の支配下にあったが戦後の時代の趨勢で、1968年以降この島をアメリカが軍事基地の目的でイギリスから半世紀の期限で借り受け、アメリカが海・空軍基地を置いている。

このリースの期限は2016年で切れるが、両国は既に、これを2036年迄延長することで同意している。

リンドン・ジョンソン大統領は、冷戦の脅威が増すなか、対ソ連のこの地域への進出を封じる目的で、イギリス労働党ウイルソン首相の要請で同島の租借を決めた。

イギリスは目的達成のため1968年、2000人の島民のモーリシシャスとセイシェルへの移住を強行している。(これについて、島民は今もこのイギリスの暴挙に抵抗を示している)

半世紀近くが経過した現在では、米、中、印の三大国間を中心に、この周辺海域の防衛が真剣に討議されているらしい。

前掲「選択8月号」によると、ホワイトハウスの国家保障会議(NSC)が年内に発表する国家安全保障報告12年度版で、アメリカ政府は国の国益、目標、軍事態勢を明確にせよと督促していると述べ、インドと中国の覇権争いを煽りたててはいけないとブレーキをかけると同時に、中国が早晩インド洋に海軍を展開させる事態を予想して準備を整える必要性を強調する。

ホルムズ海峡、アラビア海、アフリカ大陸の北角を西に、ベンガル湾及びマラッカ海峡を東に臨むインドは、その間に広大な排他的経済水域254万平方マイル、その領海は世界の1割に相当する広さと云われる。

今後インド経済の拡大は中国の後を追いつつ、2025年までには、米、中に次ぐ世界第3の石油消費国に成長すると予想されている。

インドは現在石油の70%、天然ガスの50%を輸入に依存していると云われ、。そのエネルギーの源の半分以上をインド洋の西の地域に頼らざるを得ないとすれば、インド洋の安全こそ国の死活問題として考えざるを得ないことは当然。

最近の中国の動向を見て最初に警鐘を打ち鳴らしたのは他ならぬアメリカであった。

パキスタン(インドの宿敵)の中国への接近と、戦略技術の委譲は明らかな事実であり、昨年の5月にはパキスタンのギラニ首相の中国訪問、中国のパキスタン領内のグアダールの港湾建設、パキスタン→中国間の高速道路、鉄道の建設協定の進捗状況から、今後のパキスタン情勢はアメリカにとってこれ以上見逃す訳に行かない状態に至っている。

アメリカのインド洋戦略はオーストラリアとの関係強化を軸として着々と進んでいる。ダーウインの他、豪州の西南部、パースに近い、スターリング海軍基地、インド洋上、豪州領のココス諸島へのアメリカ海兵隊の特殊作戦部隊の派遣状況に関する報道から推察して、最近のアメリカの動静は今までになく積極性を帯びている。

アメリカと豪州連携のインド洋、チモール海、南シナ海を東部防衛線とすれば、マラッカ、スンダ、ロンボク海峡を西部防衛線と思考し、空母2隻ほか、鑑船155隻を保有するインド海軍を補佐しながら真正面から中国に対抗するべく米、印、豪の三国の作戦が動き出そうとしている。

筆者はDiego Garciaの詳細とその戦略的重要性を調べるべく、アメリカのサーチ・エンジン”Ask.Com”を検索したが、小さい岩礁の存在にも関わらず実に28枚にも及ぶ記事に遭遇、西側諸国が如何にこの島々を重要視しているかを知ることとなった。

この周辺での中国の動向には慎重な姿勢を見せながらもアメリカを中心とした西側諸国は、この要衝「ディエゴ・ガルシア」を中近東への前線基地として中国の接近を許さない姿勢をとり続けることであろう。(参照:Diego Garcia, Wikipedia ,free  encyclopedia)

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