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クルド人自治区のオイル・ブーム

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クルド人の独立は、これがもし実現されたなら、今世紀の最初の大事件となることだろう。

先月筆者はクルド人は独自の国家を持たない世界最大の民族集団だと書いた。クルド人は中東では、アラブ人、トルコ人、イラン人についで人口の多い集団であるが、未だ国家として認められていない。

イラク崩壊からサダム・フセインが処刑されたのちでも、イラクは深刻な内戦状態の中にある。20世紀終盤、クルド人の独立運動が起きたが、イラン、イラク共、クルド人弾圧政策を始め、その独立を阻止、徹底的に弾圧する政策を取り続けてきた。

イラク大統領、サダム・フセインは科学兵器まで使用、クルド人の大量殺戮まで行った。

しかし、ここにきて環境が一変した、それは、クルド人自治区内で膨大な石油が発見されたからである。フセインの死後、この地方の治安が大幅に改善されたことで、外国からの企業の進出が見られるようになり、クルド人自治区が近い将来、中東屈指の商業都市アラブ首長国連邦の首都「ドバイ」のような大都市が生まれ変わるとの噂である。

クルド人自治政府大統領バルザニ氏は4月にホワイトハウスを訪れ、オバマ、バイデン正副大統領と対談し、5月にトルコを訪れた際には、まるで国賓並みの歓待を受けたと言われる。タルバニイラク大統領もクルド人であることから、今後はイラクとも関係改善が進むものと思われる。

クルド自治区の中心都市アルビルでは多くの商業施設が立ち並び、フランス大手スーパー「カルフーン」も出店している。

自治政府によると、インフラなどへの総投資額は、外国資本も含めて7月現在34億ドル(2660億円)で、6年まえの約8倍、進出した外国企業数は昨年末時で1781社、その4割はトルコからで、イラン、レバノン、欧米諸国、韓国などと続く。首都アルビルは英国経済誌に、中東で第5位の優良投資先と推奨している。

ヘリシュ・ムハラム投資庁長官は「地元企業と同等の権利を保証していることが外国企業の大きな魅力となっている」と述べている。世界銀行に依ると、この自治区の12年度経済成長率を126%と推定、将来性に期待を寄せている。

わが国のマスコミ論調では平均して、”イラクは未だ危険”と云う感覚が見られるが、クルド自治区はイラク領内ではあるが、既に「独立国家」だと云う感覚で、政府も古い先入観をかなぐり捨てて、事に対処する勇気を持って欲しい。

(資料:813日、毎日新聞)

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