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スピルバーグの映画「リンカーン」に就いて

スティーブン・スピルバーグ監督になる「リンカーン」の映画を鑑賞に行った。

その筋書き(内容)は、リンカーンの人物描写か、南北戦争のアクションか、又は、リンカーン暗殺事件の事かと思いながら見たが、それらのいずれでも無く、殆どが憲法修正第13条の議会での討論、即ち、「奴隷解放条項」の討論がメインで、南北戦争を描きながら、リンカーン夫妻が愛する息子たちを戦争で失う場面の精神的葛藤を描写して、暗殺シーンやリンカーン死後の犯人逮捕の場面もなく、アメリカ議会や、選挙制度に詳しいる人でなければ、この映画はつまらないものに映ったに違いない。

筆者がその中で最も興味深く感じたシーンはリンカーン夫妻が馬車の上で取り交わす会話で、妻のトッドが、「戦争が終わったあとで旅行するとしたら何処に行きたいか」と尋ねる場面で、リンカーン「聖地」だと答えたところであった。

「聖地」とはキリスト教、ユダヤ教とモスレム共通の場所であるので、リンカーンがどの宗教を信じていたのかに興味が湧いた。

考えて見ると、リンカーンの名前が「エブラハム」と云うことなので、もしかすれば彼がユダヤ人ではなかったかと思って帰宅後、早速「ASK.COM」で検索を試みたところ、英語版のサーチ・エンジンには、否定的に書かれていて、父親が敬虔なバプティスト派に属していたが、リンカーン自身、一度も、「自分がキリスト教」であると語ったことがなかったが、1864年に、イリノイ州出身の牧師がホワイトハウスで、リンカーンに直接If he loved Jesus?(貴方はキリストを信じますか  ?)と訊ねたところ、「自分は元はキリスト信者ではなかったが、今では「キリストを愛しています」と答えたと書かれている。

今度は、グーグルの日本語版を検索すると「リンカーンはケンタッキー州のイングランド系ユダヤ人の貧しい開拓者の家庭に生まれる。「エブラハム」は正真正銘のユダヤ教の聖人の名前と明記されているのに驚いた次第。

この作品の監督のスティーブン・スピルバーグ(1946年生まれ)がウクライナ系のユダヤ人であるが、リンカーンがユダヤ人であったことに触れる事実はこの映画には見られなかったが、最後の場面での夫婦間の会話にリンカーンが「聖地」を訪ねてみたいと語る場面で、微妙に大統領の生まれについて密かに暗示するかのごとく語っているところが印象的であった。

アメリカがキリスト教国家である以上、その国の言わば「中興の祖」と崇められている人物が、実はユダヤ人であったことを少なくとも19世紀のアメリカ人は認めるわけにはいかなかったのではと思った。

アメリカ合衆国の複雑さは我々には解らない。

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