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自民党の「農業強化策」について

第二次世界大戦直後に、小作農中心だったわが国の農業を自作農に切り替えるために実施された一連の政策が戦後の「農地改革」と呼ばれているもの。

連合軍最高司令部(GHQ)は何を思ったのか、戦前の地主制度が日本の軍国主義を生んだとして、日本経済の民主化(革命)と為に、農地改革が不可欠との思いで、1945年に幣原内閣をして2回にわたってGHQ指揮のもと強制的に農地の細分化が計られた。

それに依って地主の貸付地は1町歩までに制限され、それ以外の土地を政府が買い上げて小作農家に廉価で売りわたし、小作農⇒自作農への転換を果した。

この結果176万戸の地主から475万戸の農家が誕生し、小作農地は全体の10分の1に迄縮小した。

その時には、山林地主には規制が及ばず、細分化の被害から免れた。

その理由としては、天皇家の広大な「ご用林」を守る意味があったのではと考えられる。

今となっては手遅れだが、その時、山林の所有の規模にも制限を加えておけば、日本の広大な山林が現在のように放置状態になることを防げたのではと思う。

安倍政権はこの度、「農業の担い手の所得が10年で倍増する姿を目指す」ことを夏の参院選の選挙公約に掲げることを云いだしている。

その方法は、今後、農地の貸し借りを仲介することによって農家の経営規模の拡大を計る「管理組合」を新設する計画。

今度は「農地解放」ではなく「農地構造改革」を断行して、差し迫っているTPP協定参加に際して、理論的に反対派を説得しながら、耕作放棄地の減少に何らかの手を打ちたいと考えているらしい。

現在の稲作農家の平均農業所得は、耕作面積が平均1ヘクタール程度で約110万円にとどまるが、それが20ヘクタール規模になれば1000万円を超えるとのこと。

このままでは「規模拡大」はななかなか進まないが農作放棄地は年々広がり、今ではそれが滋賀県の面積に匹敵する程と云われている。

この「管理組合」創設の目的は農地の集約と耕作放棄地の解消にある。都道府県ごとの農地仲介機関は今でもあるが、売買を中心にしているうえに財政基盤が弱いために実績があがっていないらしい。

そこで今回安部政権が打ち出しているのが、都道府県ごとに農地の賃貸借を仲介する管理組織を新しくつくり、仲介希望農家から一旦借り受け、大規模の農地に整備して希望者に貸し付ける。

その費用は管理組織の負担として、個人に限らず、株式会社でも農業に参入できると云う構想。

この構想実現にあたって、数千億規模の財政資金を投入して基盤強化に努める今回の自民党構想には具体性が認められ、これまでのような戸別農地補償や、何もしないでも「減反制度」に従っていれば補償されると云う間違った農政を見直す取り組みとして評価したい。

都市近郊には、耕作もしないで、宅地への転用を考えて農地を抱え込んでいる農家も少なくない。

農地の集約によって少しでも農業の効率の向上を目指しながら各個人の増収に繋がる施策こそ大切である。 参考:「農業強化策」、5月6日付、毎日新聞社説

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