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デトロイト市倒産の波紋

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20世紀アメリカの発展のシンボル「自動車」の発祥地、ミシガン州のデトロイト市の倒産騒ぎで全米屈指の有名美術館Detroit Institute of Arts(DIA)の所蔵品の行方が問題視されている。(産経724

 

ここにはゴッホの自画像他数多の有名所蔵品があることで知られ、特にイタリア関係の美術品に関して世界有数のコレクションを誇っている。

 

報道によると、同市は去る718日、同州の連邦裁判所に連邦破産法第九条の適用を申請、財政破綻した。

 

米メディアによると、負債規模は180億ドル(約18千億円)を超過する見通しで、アメリカ地方自治体の破綻では最大とのこと。

 

ヘンリー・フォードが始めてデトロイトで自動車を完成させたのは、1892年のことであった。1908年に有名な「モデルT」を出すと飛ぶように売れ、これをもって「大衆車」時代が始まった。1920年代までにフォード、GM、クライスラーのビッグ3が勢揃いを果した。

 

近代式労働スタイルもヘンリー・フォードが取り入れた始めての生産方式で、所謂「流れ作業」による組み立て工法が取り入れられ、自動車産業の黄金時代がはじまった。

組み立てられる車体がベルト状の台に乗せられて次々に移動する、労働者は組み立て台の前で単純作業を分担しながら「流れ作業」に追い立てられながら、毎日がこの様な繰り返しであることで人間の自主性を無視した労働で精神的におかしくなってしまう労働者も生まれた。

 

映画監督のチャーリー・チャップリンが自作映画「モダン・タイム」で人間が作り出した機械に振り回されて精神的に異常になってゆく様をひょうきんに批判している様子を思い出した。

 

それが70年代になって化石燃料の高騰から小型で経済的な日本や欧州の輸入車に遅れをとり、アメリカ製自動車の中心都市、デトロイト市の斜陽が始まった。

 

忘れもしないが、日本車の市場参入を恨みに思い、多勢がハンマーを振りかざして小さな日本製の車を壊している様子が報道された時もあった。

アメリカにおける最大の地方都市破たんにも関わらず、日本のメディアは敢えてこのニュースを大きく取り上げないのにもそれなりの理由があってのことだと理解する。

 

1701年にフランス人のアントワース・キャディラックがデトロイトで町作りを始めたと云われ、1767年オッタワインディアンに襲撃を受けた、その時の酋長の名がポンティアック、それらは後に車名に使われている。

 

180億ドルを如何に捻出するかについて、The Detroit Institute of Arts(DIA)のコレクション売却話が先ず持ち上がったが、「自動車」と並ぶデトロイトの魂を売り渡すなと反発もでていると聞く。

 

デトロイトには「ビッグ3」の他に、コンフレークスのケロッグの本社、サランラップからナパーム弾まで生産する大化学品メーカーのダウ・ケミカルの根拠地も近郊に存在している。(野球のデトロイト・タイガース、フットボールのデトロイト・ライオンズ等も存在が知られている)

 

DIAの所蔵品に対する評価額は今のところ約25億ドルとのことらしいが、市民の間ではデトロイトの宝を売り渡すなと云う声も聞かれる。

市職員の生活は勿論、交通機関の今後の運営、生活環境の維持も、数多の心配の数は尽きないと憂慮する次第。

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